トピックス
TFPI
久米田 幸介
1
1(財)化学及血清療法研究所試薬・臨床検査部開発室
pp.490-492
発行日 1998年5月1日
Published Date 1998/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903418
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
組織因子(tissue factor;TF)は分子量約46,000の膜結合型糖蛋白質で,血漿中の活性化血液凝固第VII因子(F VII a)と結合して血液疑固第X因子(FX)や血液凝固第IX因子(FIX)を活性化し,トロンビンの生成,フィブリノゲンからフィブリンへの変換が起こり,血栓が形成される反応(外因系血液凝固カスケード反応)の開始因子として働く.一方,生体内で唯一の外因系凝固反応の特異的阻害物質として知られている外因系凝固インヒビターがtissue factor pathway inhibitor(TFPI)である.TFPIはその発見の由来より,lipoprotein associated coagulation inhibitor(EPI)と呼ばれていた.
TFPIは分子量約43,000の糖蛋白質で,3つのKunitz型阻害領域(K1,K2,K3)を持つプロテアーゼインヒビターで,Kunita 2ドメインで活性型血液凝固第X因子(FXa)と結合することにより,F Xaインヒビターとしての機能を持つとともに,Kunitz 1ドメインによりTF/F VIIa複合体と結合して,TFにより開始される凝固反応を初期の段階で効率よく阻害する.Kunitz 3ドメインにはヘパリン結含部位やリポ蛋白部位が存在するといわれているが,その機能については明確にされていない.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.