トピックス
ラジオイムノディテクション
遠藤 啓吾
1
,
渡辺 祐司
1
1京大核医学
pp.397-398
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900110
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モノクローナル抗体はすでに,検査室でも病理診断やイムノアッセイに幅広く用いられている.さらにinvitro検査のみならずin vivoでも,放射性同位元素(アイソトープ;RI)で標識したモノクローナル抗体を患者に投与すれば,対応する抗原と特異的に結合するため,モノクローナル抗体の分布を通じて癌の画像診断を行うことができる.このような手法はラジオイムノディテクション(radioimmunodetection),イムノシンチグラフィー(immunoscintigraphy)と呼ばれ,すでに悪性腫瘍,心筋梗塞などの画像診断に利用されている.投与されたモノクローナル抗体は抗原を発現した細胞と特異的に結合するのに対し,抗原のない正常細胞とは結合しないため,シンチグラフィーを撮像することによって腫瘍の存在部位のみならず,腫瘍の質的診断,組織診断も可能となると考えられる.
これまで肺癌,胃癌,大腸癌,肝癌,婦人科腫瘍,脳腫瘍などあらゆる腫瘍に対して,数多くのモノクローナル抗体が作られており,理論上すべての悪性腫瘍に対してラジオイムノディテクションによる画像診断を行うことができる.しかし現在は主として大腸癌,悪性黒色腫,卵巣癌,悪性リンパ腫などを対象に臨床応用されている段階で,良性疾患でも心筋梗塞,心筋炎や血栓症などでモノクローナル抗体を利用した画像診断が試みられている.
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