書評
心研印 心電図判読ドリル
井上 博
1
1富山大
pp.169
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208908
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山下塾で心電図判読スキルアップ!
「心電図が読めるようになるにはどうしたらよいですか?」という質問はいつの時代にもある.小生が現役時代,医学生や研修医諸君に答えていたことは,「まず何でもよいから一通り心電図の本を読んで基本的事項を理解し,その後は一例一例の心電図を読んで専門家に教えてもらう」であった.本書の編者はまさに同じことを序文で述べている.しかし周囲に心電図の専門家が必ずしもいるとは限らない.そのような場合どうすればよいか? この難題に応えてくれるのが本書である.心臓血管研究所の山下武志先生とその5人のお弟子さんの手で上梓された.
基礎編(小手調べ)7例,実践編(いよいよ本番)43例の計50例から成る.まず簡単な病歴と心電図が提示され,多肢選択形式で質問に対する回答を読者が考えるという形式である.解答としては心電図所見の場合もあれば,疾患名の場合もある.解説では心電図所見が丁寧(重要な部分にはアンダーライン)に説明され,必要に応じて胸部X線写真,冠動脈造影,心エコー図などが示され,読者の理解を容易にする工夫がされている.心電図や,提示されている画像は鮮明で見やすい.解説に続いてLearning Pointとして,その心電図所見で注意すべき要点が示され,最後に深く学びたい読者のために参考文献が引用されている.本編に続いて逆引き疾患目次があり,心電図所見,疾患名から検索できるようになっている.最後にLearning Pointのまとめが50例分示され,心電図所見のカルテへの記載例が英語で示されている.痒いところに手が届く工夫が随所になされている.
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