過去問deセルフチェック!
解答と解説
pp.657
発行日 2021年6月1日
Published Date 2021/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208410
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血糖値の調節は,自律神経系と内分泌系の働きにより維持されている.低血糖は,脳の機能を低下させ,倦怠感,痙攣などの症状を引き起こす.さらに重症化すると意識喪失,昏睡,生命を脅かす症状が現れる.以下に血糖値を上昇・低下させる仕組みを記述する.
血糖値の低下を間脳の視床下部が感知すると,その刺激が副交感神経を通じて膵臓に伝わり,ランゲルハンス(Langerhans)島のα細胞からグルカゴンが分泌され,肝臓に貯蔵されたグリコーゲンをグルコースに分解して血糖値を上昇させる.また,副腎髄質からアドレナリンが分泌され,肝臓や骨格筋に貯蔵されたグリコーゲンを分解して血糖値を上昇させる.グリコーゲンの分解は,α-1,4グリコシド結合がグリコーゲンホスホリラーゼによって加リン酸分解を受け,グルコース1-リン酸,続いてグルコース6-リン酸となり,グルコース−6-ホスファターゼの作用でグルコースとなる過程による.さらに,飢餓状態などの極度な低血糖状態では副腎皮質から糖質コルチコイドが分泌され,これは全身の細胞に作用し,蛋白質や脂質を分解してグルコースを生成(糖新生),血糖値を上昇させる.糖新生は,肝臓や腎臓の近位尿細管で発達しており,グルカゴンによって促進され,インスリンによって抑制される.これら以外にも,チロキシンや成長ホルモンなどがグリコーゲンの分解を促進して血糖値を上昇させる.
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