増刊号 First&Next Step 微生物検査サポートブック
各論 菌種別の培養・同定方法
原虫
マラリア—Plasmodium spp.
松村 隆弘
1
1北陸大学医療保健学部医療技術学科
pp.420-423
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208338
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Summary
マラリアはアフリカを中心とした熱帯・亜熱帯地域で流行しており,2018年には推定2億2,800万人が罹患し,推定40.5万人が死亡した重要な寄生虫感染症である1).2000年と比較すると検査キットや治療薬などの普及により死者数は半数以下となったが,感染者数は4,000万人程度の減少であり,2014年以降大きな減少はみられていない.わが国では輸入感染症として認知され,過去5年間では40〜60件/年程度の報告数で推移している.
ヒトに感染するマラリア原虫は,ヒトに宿主特異性を示す熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum:Pf),三日熱マラリア原虫(P. vivax:Pv),四日熱マラリア原虫(P. malariae:Pm),卵形マラリア原虫(P. ovale:Po)の4種であったが,2000年以降,マレーシアを中心に感染者が増加傾向にあるサルを自然宿主とした二日熱マラリア原虫(P. knowlesi:Pk)の1種が加わり,現在は5種となっている.
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