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はじめに
日本の多くの施設では,米国CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)が制定した薬剤感受性検査が用いられています.また,自動分析装置の普及に伴い,ディスク法に代わり,CLSI法に準拠した微量液体希釈法が全国に普及しています.微量液体希釈法の結果としては,最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)と,ブレイクポイントから導き出されるカテゴリー,感性(susceptible:S),中間(intermediate:I),耐性(resistant:R)が報告されます.抗菌薬を推奨される用法・用量で投与したときに,その抗菌薬が感染部位に到達しうる濃度で菌の増殖を阻止できる場合をSと定義しています.一方,感染部位に到達しうる濃度では菌の増殖を阻止できない場合をRと定義しています.また,Rと判定されたものに対する臨床効果は,治療研究において明確にされていません.
CLSI法のブレイクポイントは毎年アップデートされます(M100-S2*,*の数値が毎年大きくなっていきます.ちなみに現在はM100-S26).特に2010年(M100-S20)以降,大きな変化がありました.腸内細菌科について,一部のセフェム系薬やカルバペネム系薬のSのブレイクポイントが引き下げられたことです.これとともに一部の抗菌薬のコメントに薬物動態(pharmacokinetics:PK)・薬力学(pharmacodynamics:PD)に基づいた抗菌薬の用法・容量が記載されるようになりました.また,2014年(M100-S24)には,セフェピム(cefepime:CFPM)のブレイクポイントに用量依存的感性(susceptible dose dependent:SDD)の概念が追加されました.
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