書評
糖尿病に強くなる!—療養指導のエキスパートを目指して
鞍田 三貴
1
1武庫川女子大・食物栄養学
pp.263
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206386
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糖尿病を取り巻く環境の変化に素早く順応する力を養う
私が管理栄養士として病院に勤務し,糖尿病教室や栄養食事指導を始めたのは1990年頃です.当時の糖尿病教育入院は,40〜50歳代の肥満を伴う糖尿病患者さんが多く,食品交換表の勉強などが組み込まれていました.糖尿病療養指導は,多職種によるチームで行われておらず,栄養・食事指導は食物栄養のみに着目した指導型教育であったように思います.
しかし時が流れて今,わが国は世界に類を見ないスピードで高齢化が進行し,超高齢社会に突入しました.その中で,医療においては,単に長く生きるのではなく,健康を維持・増進しつつ寿命を延ばす取り組みがなされています.これを実現するために,医療従事者には,指導教育型から脱却し,セルフエフィカシィ(自己効力感)を高める技術が求められます.本書は,そんな社会のニーズに合わせて,糖尿病の基本から,ライフステージごとの生活指導に留まらず,心理面とそのケア,行動変容を促すアプローチなどについても述べられています.また,災害時の対策と対応から服薬アドヒアランス,糖尿病とがんなど,教科書にはみられないコラム記事がとても新鮮です.
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