臨床生理検査と技術 Ⅰ 心電図検査
[6]Holter心電図
早川 弘一
1
,
斉藤 勉
1
1日本医科大学第一内科
pp.428-431
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204069
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歴史と臨床的意義
Holter心電図法とは,携帯用心電計を用いて日常生活中の心電図を磁気テープに長時間記録し心拍数,不整脈やST偏位などを高速自動分析する方法を指す.
本法は1961年アメリカのHolter博士により携帯用心電計からテレメーターによりテープレコーダーに心電図を集録する方式としてまず開発され,以後年ごとに改良が加えられ,すでに25年を経ている.わが国ではHolter博士の名前をとって「Holter心電図法」と呼ばれるが,英語ではdynamic ECGあるいはambulatory ECGと呼ばれる.Holter心電図法はAVSEP(audio-visual-superimposed electrocardiographic presentation)とも呼ばれるように変化する心電図波形をブラウン管オシロスコープ上に実時間よりも60倍も速く次々と重ね合わせて視覚的に確認するとともに,同時に聴覚信号も加えたシステムでもある.最近の記録器は小型・軽量化とともに低周波特性,モータースピード,信頼性などの向上が図られ,現在では24〜48時間の良好な連続記録が可能となっている.さらに最近ではテープ非使用のタイプも開発され,国産器も安価に提供されるようになり,急速に普及しているのが現況である.その有用性は不整脈や狭心症の診断のみならず,治療法の判定,成人病検診,健康人の心拍日内動態,その他の分野でも広く認められつつある.表にHolter心電図の臨床適応の一覧を挙げた.
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