検査を築いた人びと
ウォラー変性の発見者 アウグスツス・V・ウォラー
酒井 シヅ
1
1順天堂大学医史学
pp.602
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203390
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イギリスの生理学者ウォラーは,神経細胞が傷つくと,その細胞のみならず,その軸索突起が関与する細胞にも変性が来ることを発見した.これは神経細胞が栄養補給も行うためであると説明し,それをウォラーの法則と呼んだのである.この法則を活用して,神経線維を傷つけ,細胞の変性の方向を調べて,刺激伝導の方向を知る方法をウォラーの変性法と呼び,かつては神経線維結合を知る方法として広く用いられた.
ウォラーは,1816年にケントの田舎に生まれたが,幼い頃,家族とともに南仏に移り住んだ.その後郷里に戻るが,大学時代はパリで過ごしている.その頃のパリは医学の先端にあった.ヨーロッパ各国から新進気鋭の学者が集まっていた.
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