技術講座 輸血
輸血用血液の保存法
笹川 滋
1
1日本赤十字社中央血液センター研究部生化学課
pp.911-915
発行日 1984年10月1日
Published Date 1984/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543203165
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最近の医学の進歩に伴って,日本赤十字社血液センターが医療機関に供給している血液製剤も表1に示すような多種類ある.この種類により,有効期日も異なるし,保存法や取り扱い方なども当然異なってくる.保存法には大別して,液状(4〜6℃)と凍結(-80〜-85℃のフリーザー中または-196℃の液体窒素中)法がある.さらに,保存する物の方からみると,赤血球や血小板のような細胞と,血漿の液状成分について分けて考えることができる.
使用する患者側からみると,近年は,事故や大手術により多量の全血液を失った場合は別として,一般に病気の場合には,全血液の輸血を必要とすることはほとんどない.その患者に必要な血液の成分を,必要量輸血する(成分輸血)1).不用な成分をも輸注することは,かえって患者にマイナスとなる.このようにすると,1人の献血者の血液が3人もの患者に有効利用される.親バッグ中には血液保存液が入っており,これに採血する.その後,遠心により各成分を分離するが,図1に簡単にその分離方法を示した.
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