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—飯田 由紀子 著—骨肉腫と闘った我が娘の鎮魂—珠子(たまこ)十歳のれくいえむ
吉田 陞
1
1荏原医師会臨床検査センター
pp.544
発行日 1983年6月1日
Published Date 1983/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202789
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「ママ,足が痛いの」.それまで病気1つしたことのない10歳の少女,というよりはかわいい女の子が母親に訴えた.それが「骨肉腫」との闘いのはじまりであった.それから幼い生命が力つきるまでの9ヵ月間にわたる母娘(おやこ)の働哭(どうこく)の記録である本書を読んで,医療に携わる者のあり方などをいろいろと考えさせられた.
闘病記の書物は洋の東西を問わず昔から多くあるが,主観的に書かれているものが一般に多い.本書は著者があとがきで,客観的記述に努力したにもかかわらず主観的な面を克服できなかった点もあったと述べているとおり,そのようなところも少しは感じられるが,最愛の我が娘(こ)の不治の病と死を通して,生と死,医療のあり方などが努めて客観的に書いてある.
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