技術講座 生化学
アデノシンデアミナーゼ活性の定量法とその臨床的意義
高橋 唯郎
1
1北里大学内科
pp.950-953
発行日 1981年12月1日
Published Date 1981/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202400
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近年,プリン化合物の異化に関与し,アデノシンを脱アミノ化するヌクレオシドデアミナーゼの一種であるアデノシンデアミナーゼ(EC.3,5,4,4,以下ADAと略す)の欠乏と免疫不全との関連性が注目されている.著者はこの点に着目し,胸水中リンパ球優位を示す代表的疾患として結核性胸膜炎,癌性胸膜炎での胸水中ADA活性を測定し,癌性胸膜炎でのADA活性値は結核性胸膜炎のそれに比較し有意に低値を示し,胸水中ADA活性の測定が免疫学的,生化学的視点からの新しい鑑別診断法になり得ることを報告1)してきた.ADA活性の測定は極めて簡単であり,測定時間も短いことより,両疾患の早期鑑別法にもなり得るものと思われ,日常胸膜炎の症例に遭遇する機会がますます増加していることを考えると,もっと臨床面で応用されてよい検査法と思われる.本稿ではその測定法について詳細に述べ,臨床面での有効性についても具体的に触れてみることとする.
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