マスターしよう基本操作
寄生虫卵検査のための塗抹標本の作り方
鈴木 了司
1
1国立予防衛生研究所寄生虫部第2室
pp.49-52
発行日 1975年12月1日
Published Date 1975/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200947
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いろいろな寄生虫卵検査法のうちで,最も操作が簡単で,そのうえほかの検査法のように操作の途中で寄生虫卵の紛失がない.しかし,直接塗抹法だけの標本検査では,糞便量が少ないので産卵数の多い回虫以外の寄生虫卵は濃厚感染でないと検出しにくい.このため,検出力を増加するためには,沈殿法や浮遊法などの集卵法,または孵化法が用いられる.
一方,カバーガラスの代わりにセロファンを使用するセロファン厚層塗抹法(加藤法とも呼ぶ)は,大量の糞便を検査に用いることによって直接塗抹法の欠点を補い,集卵法の検出力に近づけたものである.この方法は標本の作りやすさ,経費の点から集団検査に好適であるが,鏡検時に寄生虫卵の特徴が不明瞭になりがちなので,虫卵鑑別に熟練を要する短所がある.臨床検査としての検便は界面活性剤を使用する沈殿法(AMSⅢ法,Tween 80・クエン酸緩衝液法など)が良い.(カットは回虫受精卵)
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