技術講座 生理
超音波診断装置による検査のコツ
石山 陽事
1
1虎の門病院臨床生理検査部
pp.68-69
発行日 1973年12月1日
Published Date 1973/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543200329
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音波とは本来厳密な物理学的定義を当てはめると耳に聞こえるものをいうわけであるが,耳では聞こえないほど高い周波数のものを超音波と呼んでいる.臨床診断の装置に使用される超音波は1〜10MHz(1MHz=106Hz)程度で,使用目的によっていろいろな周波数を使い分ける.周波数何Hzというと電波の周波数を思い出すが,音波についてもこれと同じ考え方ができる.ただ電波は媒質がなくとも伝わるが,音波は何か媒質がないと伝播しない(真空では伝播しない)ことがこの両者の大きな違いである.
電波も音波も周波数(f)と波長(λ)の積は一定値(c),すなわちc=f×λという関係式がある.電波ではcは光速(30×107m/秒)と同じであるが,音波におけるcは音速を示し,これは媒質によって異なる.たとえば空気中では340m/秒,水中では1500m/秒であり,生体はほぼこの水中と同じである,しかし生体内部においてはいろいろ異なった組織があり,少しずつ媒質の性質や密度を異にする.このような媒質密度の相違によって音速もまた少しずつ異なっている.このような性質を表わす用語に音響インピーダンスということばがある.音響インピーダンスは媒質の密度と音速の積で表現される.
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