ワンポイントアドバイス
一歩進んだ動脈硬化検査―ABI検査にTBI検査を追加すると
船水 康陽
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1財団法人鳴海研究所清明会鳴海病院臨床検査部
pp.600-601
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103218
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はじめに
近年,生活習慣の欧米化と人口の高齢化により動脈硬化性疾患が増加しており“血管病の時代”を迎えた.2007年に末梢動脈疾患(peripheral arterial disease,PAD)に関する国際的に標準化された診断と治療のガイドラインであるTrans-Atlantic Inter-Society ConsensusII(TASCII)が発表された.そのなかで,足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index,ABI)および足趾上腕血圧比(toe brachial pressure index,TBI)の有用性について述べられている(表,図1).ABIはPADのスクリーニングとしてのプライマリ診断をはじめ,術後の評価,経過観察などに広く活用されているが,罹患期間の長い糖尿病患者や透析患者などのようなメンケベルク型動脈硬化症に伴う中膜石灰化が強い例では,カフ圧を上げてもマンシェットによる動脈の圧縮が不十分となるため偽正常化を示すことがある.この原因である動脈中膜の石灰化は足趾までは及ぶことが少ないため,このような患者においてはABIよりTBIのほうが末梢の血流障害をより正確に反映する.
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