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はじめに
生活習慣病を発症前に発見し,早期に予防することが健康増進と医療費抑制に繫がるとして,その重要性が広く唱えられている.2008年に開始される特定健診も生活習慣病のなかで最も頻度の多い,メタボリックシンドロームの抑制をねらったものである.その根本は10項目の臨床検査の値と,腹囲,血圧から同症候群をスクリーニングし,将来に予測される糖尿病,動脈硬化性疾患を未然に予防することにある.
本稿では特定健診項目も含めた,代謝関連マーカとしてのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase,AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase,ALT),ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(gamma glutamyl transferase,GGT),尿酸(uric acid,UA),総コレステロール(total cholesterol,TCho),高密度リポ蛋白質コレステロール(high density lipoprotein cholesterol,HDL-C),低密度リポ蛋白質コレステロール(low density lipoprotein cholesterol,LDL-C),中性脂肪(triglyceride,TG)が個人特性としての生活習慣をどの程度反映するのかを,多変量解析で分析した結果を提示して解説する.主に用いたデータは生活習慣調査票を使って,食習慣,運動習慣,飲酒,喫煙,身体計測値の情報を同時に調べた住民健診,会社健診,健常ボランティアの検査結果である.その分析結果は,総論8の「生理的変動要因の分析」のなかの個体間変動要因の項で記した内容と重複するが,その記載の根拠となったより詳細なデータとなっている.
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