私の一推し免疫染色
肝類洞血管内皮細胞の染色
森 正也
1
1三井記念病院病理部
pp.458-459
発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101713
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肝細胞性腫瘍あるいは腫瘍様病変は,既存の肝組織の構築を残している.すなわち増生した肝細胞間に類洞様血管が存在する.肝細胞癌との鑑別が難しい肝細胞性腫瘍あるいは腫瘍様病変では,増生している肝細胞が正常の肝細胞と類似しているため,ヘマトキシリンエオジン染色(hematoxylin-eosin stain,HE染色)上は診断が難しい.今回のテーマは増生している肝細胞に免疫染色を行うのではなく,その間にある血管内皮に注目し,内皮細胞の性質の差から鑑別を行おうというものである.
正常肝の類洞血管内皮細胞は,通常の血管内皮細胞とは異なり,孔あき型の内皮細胞である.免疫組織化学的には,通常の血管内皮細胞はCD31,CD34,フォンウィルブランド因子(von willebrand factor)などが陽性となる.一方,正常肝におけるこれらの血管内皮のマーカーは正常肝では中心静脈,グリソン鞘(Glisson sheath)の血管およびそのごく近傍の類洞内皮細胞にのみ陽性となる.類洞内皮細胞はこれらのマーカーは基本的に陰性である.
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