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はじめに
日本で本格的な外部精度管理調査(external quality assessment;EQA)が開始されて約40年が経過し,臨床検査の質は飛躍的な向上を遂げました.しかし,わが国ではたくさんのEQAが実施されてはいますが,統一された方式での共通外部精度評価事業(national external quality assessment;NEQA)ではないため,複数のEQAに参加してもこれらを総合して評価することはできず,最近世界的な動きになっている検査室認定のための資料として用いることにも問題があります.
臨床検査室の認定は,米国,欧州,オーストラリア・ニュージーランドを中心に実施され,アジア・東南アジアでも実施の機運にあります.米国では,臨床検査室の質の改善に関する法律CLIA'88)が施行されてから,特定の認定機関による認定が義務付けられていますし,オーストラリア圏でも検査室の稼動には認定を受けることが必須条件となっています.日本でも医療関連サービス振興会が登録衛生検査所の認定を行っていますが,この認定は登録衛生検査所に限られ,しかも本振興会は世界的な認定機関として認められた機関ではありませんので,その認定は国際的には通用しません.このように,検査室の認定については世界の中で日本が一番遅れており,公正な立場から検査室の質の評価が行える調査法としてNEQASの開発が緊急の課題となっています.日本医師会総合政策研究機構(日医総研)では日本におけるNEQAS実施に向けた研究を行い,その内容を日医総研のホームペー(http://www.jmari.med.or.jp/)1)に公開していますので,その内容を簡単に解説しておきます.
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