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ケトライド系抗菌薬テリスロマイシン
井上 松久
1,2
,
兼子 謙一
2
,
村上 洋介
2
,
佐藤 義則
2
,
中野 竜一
2
,
須田 和美
2
,
保坂 美生
1,2
1北里大学医学部微生物学
2北里大学大学院医療系研究科環境感染学
pp.86-88
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100554
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はじめに
ケトライド系抗菌薬テリスロマイシンは,新しい範疇に属する抗菌薬である,1).本剤は,2001年に最初にドイツで市販され,2003年現在フランス,イタリアなどのヨーロッパ諸国,中南米およびアジア・オセアニアにおいても既に臨床応用されている.日本においても2002年に申請されており,2003年12月初旬に販売された.本剤は,呼吸器および耳鼻咽喉科感染症の原因菌(グラム陽性球菌,ヘモフィルス,非定型微生物,細胞内寄生性細菌)に対して強い抗菌力を示す.しかも,テリスロマイシンは既存の抗菌薬とは交差耐性を示さない特徴を有する.
近年,ペニシリン耐性肺炎球菌(penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae,PRSP)やマクロライド耐性肺炎球菌(erythromycin-resistant Streptococcus pneumoniae,ERSP)が臨床上大きな問題になっている.ケトライド系抗菌薬であるテリスロマシン(telithromycin,以下TEL)は,ペニシリンやマクロライド系抗菌薬,あるいはキノロン系抗菌薬耐性の肺炎球菌に対しても強い活性を発揮するため注目されている.ケトライドという名称は,1950年代に発見されたpikromycinやnarbomycinに由来する2,3).
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