Laboratory Practice 生化学 自動分析装置でのデータの質を上げるためのポイント
純水製造装置と水の管理
飯田 寛
1
1東洋紡エンジニアリング(株)アクアシステム部
pp.438-442
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100011
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近年来,生化学自動分析装置用水は純水器(イオン交換樹脂)による供給でしたが,生化学自動分析装置メーカー各社の新技術により,装置は高機能化・高性能化そして高スピード化処理を可能とし進化してきました.さらに,メーカーの研究開発テーマは検体の微量化・微量試薬化に向けられ,短期間に実現されました.そのなかで,微量化に伴い,求められる水質として純水器での無機イオン物質除去のみでは不十分であること,またイオン交換カートリッジ内部での微生物の増殖や有機物の影響が顕在化し問題視されました.特に有機物由来の水藻の発生・光合成による,チューブを詰まらせる塊の発生や,イオン交換樹脂の破砕粒が細いチューブ内に滞留するトラブルなどが発生してきました.また反応セルに有機物が付着・残留して光学系に影響が出たり,電極面が汚染されるために検量線の傾き現象が発生したり,また反応セル自体の耐久性にも影響が出たりするようになりました.
その対策として,逆浸透膜(reverse osmosis membrane,RO膜)による純水処理装置の検討が進み,問題視されていた有機物質の影響も100%クリアーされ,要求水質に見合う高純度水が安定的にかつ低コストで得られる状況になりました.現在ほとんどの施設では生化学自動分析装置用水・試薬調整水・器具の洗浄用水としてRO水が幅広く利用されています.
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