Japanese
English
研究
赤血球抗体検出用パネル血球の保存におけるアデニン,イノシンの添加効果
Effects of Adding Adenine and Inosine on Stored Panel Cells.
小松 文夫
1
,
佐藤 ヒロミ
1
,
矢野 節子
1
,
須田 真美子
1
,
太田 信江
1
,
尾中 真理子
1
,
松田 美枝子
1
,
中尾 真
2
,
武内 重五郎
3
Fumio KOMATSU
1
,
Hiromi SATOH
1
,
Setsuko YANO
1
,
Mamiko SUDA
1
,
Nobue OHTA
1
,
Mariko ONAKA
1
,
Mieko MATSUDA
1
,
Makoto NAKAO
2
,
Jugoro TAKEUCHI
3
1東京医科歯科大学輸血部
2東京医科歯科大学生化学
3東京医科歯科大学第2内科
1Dept. of Transfusion Laboratory, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental Univ.
2Dept. of Biochemistry, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental Univ.
3Second Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental Univ.
pp.816-820
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915172
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はじめに
1959年中尾ら1)は保存中の赤血球の代謝を研究し,ATP崩壊過程にアデニン及びイノシンを同時添加することによって,赤血球のATPを再上昇させることに成功した.以後,赤血球の保存にアデニン,イノシンを加えることによって血球の延命効果が得られるということは諸家の一致して認めるところとなった2〜7).我々も輸血用保存血にアデニン,イノシンを添加して有効期限を延長させる試みを行っている8).
ところで,赤血球抗体検出用の血球(パネル血球)は,保存期間が長くなるにつれて赤血球抗体の検出率が悪くなることがある.すなわち赤血球の被凝集性が低下する.これは古くなった血球は球状化したり2,3),赤血球膜が変性したり9)するためと考えられる,そこで我々は,この場合アデニンやイノシンを加えて保存すれば赤血球の被凝集性は余り低下せず,抗体の検出率も保たれるのではないかと考えて,アデニン,イノシンを添加して保存した赤血球について凝集反応の強さをみ,パネル血球の保存にアデニン,イノシンを添加することの有効性について検討したので報告する.
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