Laboratory Instrumentation
定量顕微鏡
澤村 一郎
1
1オリンパス光学工業㈱M事業部
pp.328-331
発行日 1978年3月15日
Published Date 1978/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914702
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近年,臨床検査法の進歩には著しいものがある.特に臨床化学検査はかなり複雑な検査もほとんどルーチン化に困難を感ぜしめないほど簡易化と自動化が進められてきている.だが,顕微鏡下での検査は検体の処理,判定などに熟練と手間がかかるため,化学検査に比較してルーチン化,自動化が遅れている.例えば,癌の診断のために細胞を顕微鏡検査する方法がある.この細胞診は顕微鏡下で正常細胞と悪性細胞の形態学的差異を主観的に捕らえて判別を行うものである.この判別には高度の細胞学的知識と厳密な検鏡態度が必要とされる.したがって多数の検体について,核径,N/C比,核濃染度,クロマチン所見,核小体などの形態学的特徴を客観的に正確に,しかも迅速に把握することは熟練者といえども容易なことではない.細胞診における判定基準の主観性を排除し,客観化することは判別の正確さを期するうえで大切なことである.判定基準を客観化するためには,判定に利用されている多数のパラメーターについて,その計量の可能性について検討する必要がある.御園生1),武田2),西谷3),杉森4)らは顕微鏡下で形態学的に観察される所見のうちで計測可能な種々のパラメーターを選び出し,正常,異常の定量的な判定基準値を設定した.これらの報告は細胞核の大きさと核DNA量をパラメーターとして,正常と異常の区別が可能であることを示している.
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