総説
C1qの特性を利用した新しい免疫複合体の検出法
田村 昇
1
1筑波大学基礎医学系・免疫血清
pp.27-31
発行日 1977年1月15日
Published Date 1977/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914235
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免疫反応が関与していると推定される疾患で,血液,関節液,脊髄液などの体液中に免疫複合体(immune complex)を検出することは,その疾患の病因の追及に役立つばかりでなく,病態の把握,予後の判断にも重要であることはいうまでもない.免疫複合体の検出方法としては,超遠心やクロマトグラフィーなどの物理化学的方法を用いる方法と,白血球や培養細胞のFcレセプターやC3レセプターを利用したり,食細胞の食作用の抑制や,血小板の凝集を使うなどの生物学的方法とがある.しかし,物理化学的な方法はその検出感度が著しく低いという欠点がある.一方生物学的な方法は感度が高いが,白血球や血小板などの生きた材料を使うため,その手技が繁雑で再現性のある結果が得られにくい,という欠点が指摘されている.
補体第一成分(C1)のsubcomponentであるC1qは,抗原抗体複合物を識別してこれに反応結合するという特性を持っている.最近,このC1qの特性を利用して,体液中の免疫複合体を検出しようとする試みが報告されてきている.この方法は,その免疫複合体の検出感度が著しく高く,しかも検出に使う試薬の保存が可能であり,したがって再現性のある結果が得られやすいと期待されるなど,多くの利点を持っているようである.
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