技術解説
血液型のうら・おもて—ABO式血液型判定と交差適合試験
村上 省三
1
1東京女子医大輸血部
pp.924-930
発行日 1975年9月15日
Published Date 1975/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909084
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一昨年来厚生大臣の私的諮問機関として設置されていた血液問題研究会(会長 島田信勝北里大主幹)は本年4月"当面推進すべき血液事業のあり方"について意見書を大臣に提出した.その一部として同研究会は血液型不適合による輸血事故が医療事故のかなりの部分を占めているところから,今後血液型判定法や交差適合試験をどのように改善向上させるべきかについて小委員会を作って検討を行い,一応の成案を得た.この案がどのような形で公表され,あるいはどの程度に実際に拘束力を持つようになるのかなどについてはいまだ分かっていないが,我々としては,現実面でのレベルの低さと,理想像との間のギャップの大きさに悩みながらもいろいろ検討を加えた結果,一部の委員には不本意とするところもあったとは思うが,近い将来により完全な姿に脱皮できることを念願しつつ,漸進的に向上させようとの意図のもとに現段階での立案を行った,したがって,その内容はむしろ最低基準ともいうべきものであって,それ以上のレベルの検査ができるところでは,今後ともその水準を維持してほしいものである.
一方,輸血にからむ事故で,マスコミに大々的に取り上げられるような事態は相変わらず跡を断たない.まことに寒心に堪えぬところである.
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