特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅲ.循環器
2.心機能計測
2)左室拡張能の評価
田中 伸明
1
,
松﨑 益德
2
Nobuaki TANAKA
1
,
Masunori MATSUZAKI
2
1山口大学医学部附属病院検査部
2山口大学大学院医学研究科器官病態内科学
pp.1333-1338
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904931
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イントロダクション―どうして拡張能なのか
「心臓は血液を拍出するポンプである」といわれるように,心臓の機能の主要な部分は収縮能であるというのが一般的な理解であろう.実際,心臓が1分間に拍出する血液の量である心拍出量は,重要な心機能の指標の1つである.しかし,血液を拍出するためには,次に拍出することになる血液をいったん心室に蓄える必要がある.もし左室の拡張能力が著しく低下すると,次の拍出への準備が不十分となり,心拍出量が低下したり,左室の上流に当たる左房や肺血管に血流のうっ滞(congestion)が生じることが容易に想像できる.つまり,拡張能も収縮能同様に重要な機能なのである.
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