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エストロゲン,プロゲステロンと骨代謝
福本 誠二
1
1東京大学医学部第4内科
pp.98
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902186
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近年,人口の老齢化に伴う患者数の増加から,骨粗鬆症の発症機序や治療法の開発に関心が集まっている.骨粗鬆症は種々の要因によって惹起される疾患群の総称であるが,その中でも発症機序の解明の進んでいるのが閉経後骨粗鬆症である.閉経後にはエストロゲンの欠乏により骨代謝が亢進し,骨吸収および骨形成の促進が認められる.正常の骨代謝においては骨吸収と骨形成とのバランスが保たれているが,閉経後には骨吸収の増加が骨形成のそれに比し著しいため,骨量は減少する.
エストロゲン欠乏による骨吸収亢進の機序としては,interleukin-6(IL-6)やinterleukin-1(IL-1), tumor necrosis factor (TNF),granulocyte macro-phage-colony stimulating factor (GM-CSF)などのサイトカインの関与が注目されている.骨芽細胞や骨髄間質細胞,さらには単球などにより産生されるこれらのサイトカインは,破骨細胞形成,および破骨細胞による骨吸収を促進する.エストロゲンはin vitroおよびin vivoの成績から,これらのサイトカインの産生を抑制することが明らかにされている.したがって閉経後には,エストロゲンの欠乏により,これらのサイトカインが増加し,骨吸収の促進がもたらされるものと考えられる.
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