表紙の裏話
目玉親父と網膜研究
星 秀夫
1
1東邦大学医学部医学科解剖学講座生体構造学分野
pp.958
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103543
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ヒトの視覚を説明するとき,よくたとえにカメラが使われる.水晶体がレンズの働きをし,外界からの光を集めピントを合わせて網膜に像を映す.網膜に並ぶ光受容体が,この光を電気シグナルに変換し,視神経を経由して脳に送ると映像として認識される.
カメラにおけるフィルムのような役割を担う網膜は,複数種類の細胞で構成される多層構造をしている.視覚情報は,網膜の中で視細胞→双極細胞→神経節細胞と順に情報伝達され,中枢へ送られる.その情報伝達経路は,大きく2つにわかれる.まず明るいときに応答する細胞をON型,暗いときに応答する細胞をOFF型と呼ぶ.ON型の双極細胞はON型の神経節細胞とシナプスを作り,明るいという情報を伝達する.これがON経路であり,逆に暗いときはOFF型細胞同士が作るOFF経路が働く.
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