連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・41
生成AIと著作権侵害
増田 拓也
1
1弁護士法人 色川法律事務所
pp.732-734
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541212231
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■1 生成AIと著作権を巡る議論の現状
近時,いわゆる生成AI(Generative AI,生成系AI)の利用が急速に広まっています.法律に生成AIについての定義はありませんが,概ね,利用者の指示に基づき,さまざまな形態のコンテンツを生成するAIが,生成AIと呼ばれています.生成AIの広がりと同時に,クリエイターやAI開発事業者などの関係者から,作風などを模倣され仕事が奪われる恐れや,生成AIに関する著作権侵害が生じる恐れがあるという懸念も表明されています(実際に,特定のクリエイターの作品を学習データとして追加的な学習を行うことで,そのクリエイターのいわゆる作風を模倣する行為も行われています).しかしながら,生成AIと著作権に関する法の解釈や実務の運用は定まっておらず,さまざまな立場からの意見があり得ることもあって,議論の落としどころが見通し難い状況です.
そのような中,文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が,「AIと著作権に関する考え方について」★1(以下,本考え方)をとりまとめており,本考え方では,生成AIと著作権に関する著作権法の解釈について,同小委員会としての一定の考え方が示されています.生成AIと著作権に関する議論をする上で非常に重要な文献です★2,3.
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