特別記事
医療ガス配管工事ミスは何故繰り返されるか
佐藤 暢
1,2
Toru SATO
1,2
1鳥取大学医学部・麻酔学
2ISO/TC 121対策委員会
pp.864-868
発行日 1988年10月1日
Published Date 1988/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209389
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はじめに
昨年12月22日と24日に国立嬉野病院(佐賀県)で起きた医療ガス配管ミスによる死亡事故について,その原因を巡って様々な報道がなされてから既に半年が経過して,警察の調査も終わり厚生省も漸く対応策をまとめたので,この際,問題点を振り返ってみた上で,このような悲惨な事故がなぜ繰り返されるのか,もう二度と起こさないための方策を探りたい.
この事故は,手術室の天井裏にある換気用通気管の工事に伴って,邪魔になった医療ガス用の配管を移設した際,酸素と笑気の配管をつなぎ間違えた単純なミスによる(図1).しかし,2本の配管を逆に連結する工事ミスが起きて,しかも3日間も気づかなかったので,2人も患者が死亡した裏には複雑な背景がある.
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