実務のポイント 施設
排水規制対策の実際—生化学検査部門における対策
坪倉 篤雄
1
,
島末 明
1
1広島大学医学部附属病院中央検査部
pp.324-325
発行日 1979年4月1日
Published Date 1979/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541206838
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工場廃液中の水銀やカドミウムなどの重金属による水質汚染が原因で,水俣病やイタイイタイ病のいわゆる公害病患者の発生をみるに至り廃液による水質汚染は大きな社会問題となってきた.病院から排出される廃液にも,多量の環境汚染物質源が含まれており,病院に対する排出規制も次第に厳しくなつている.
昭和45年に排出等の規制に関する法律,水質汚濁防止法により有害物質による排水中の汚染状態を規制する排水基準が決められ,この法律に基づく特定施設として,501人槽以上の屎尿処理施設をもつ大病院では,すでに法規制の対象となっている.現在のところほとんどの中小病院では,法律的に特定施設としての規制をまだ受けてはいないが,規制の対象に加えられるのもそう遠くはないものと思われる.病院廃液による病院内から周辺にもたらされる環境汚染以外に,病院内での感染や有害物質による職場での健康や危険の防止に対する問題もある.検査室からの廃液は病院全体から考えると一部であるかもしれないが,検査試薬として種々の有害物質を取扱っている現実から,検査室廃液の対策は今日重要な課題となってきた,検査室で使っている有害薬品には,酸・アルカリ剤,重金属化合物,ハロゲン化合物,シアン化合物,有機溶媒,芳香族アミン系の発がん性物質,洗剤,フェノール系消毒剤など複雑多岐である.
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