追悼 橋本寛敏先生
橋本寛敏先生を偲ぶ
吉田 幸雄
1
1聖マリアンナ医科大学
pp.99
発行日 1974年2月1日
Published Date 1974/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205283
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橋本寛敏先生が逝去され,まことに哀悼に堪えない.在りし日の先生はわれわれの心の支えであった.医師には師表であり,病院管理者には指導者であり,看護婦はじめ医療関係者には大いなる慈父であった.1月19日の午後,先生の葬送が厳粛に聖路加病院の礼拝堂で進められているとき,落日に輝くステンド・グラスにようやく照らされた会堂の裡で,壇上に安置された先生の遺影を見つめていた多くの参列者の心の中には,先生の偉大な行蹟を畏敬の念をもって思い起こさざるものはなかった.私もその1人である.今あらためて先生を偲び,この一文を草する.
私が先生の馨咳に接することができるようになってから,私の4半世紀の人生行路は,先生の光明に導かれたといっても過言でない.先生と今や幽明を境にし,師を失った心切なるものがある.しかし「病院管理大系」を企画し,先生のご指導の下に今や大半を刊行しえたことは,私の望外の幸せであり,この大系こそ心から先生の霊にささげる唯一のものである.
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