特集 人を募集する
病院の求人難と大学改革
尾崎 盛光
1
1東京大学文学部
pp.31-35
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541204905
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●病院の求人難は当然のこと
今日,病院は人手不足で困っている,という話だ.これは医者が不足しているという意味ではない.医者のほうはむしろ過剰である.過剰であるというと誤解を招くから,偏在しているといったほうがいい.貧しい県とか市町村の病院や診療所の類は,医者の過疎に悩んでいる.が他方,大都市の富裕な大病院,とくに大学付属病院などは医者が過密である.
こうした大病院には,タダ同然の待遇でも,いくらでも医者が集まる.とくに若い医者は競ってこうした病院に集まる.極端な場合には,患者3人に医者1人などということになる.つまり庶民にとって必要なところ,庶民の手の届くところには医者が過疎で,庶民には縁の遠いところに医者,とくに若い働きざかりの医者が密集している.
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