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綜合病院の設計と構造(2)
小川 健比子
1
1厚生省醫務局整備課
pp.12-17
発行日 1952年12月1日
Published Date 1952/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200567
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第2章 建物
先ず,是非記憶しておかねばならないことは,「病院」というものは,單に病室をもつた建物に過ぎないというものでは,決してないということである。病院を造るのに,或る特殊な建築上の外觀を創ろうとして,或る地域の中に無理に諸施設を建て並べる樣なことがあつてはならない。それは,その色々な施設のために,一つの複雑した,又高度にして特長のある夫々の機能をもつた構造物になる樣に,設計されねばならないものである。この點に錯誤があると,患者も醫員も又雇人達もそれに滿足することができず,又設計家や構造家は,自分自身後悔するばかりでなく,人の非難も受けるだろうし,更に,その作業が過剰となる上に後日直ぐ模樣替の經費が必要となつて來る。
以上のようなわけで,建築家としては,病院の機能に通牒することが絶對に必要であるし,又一方,責任ある委員としては,設計家を不利な立場にする樣な態度で,故意に,その構造物の正確な形式或は形状に就いて,云々する樣なことがあつては斷じていけない。
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