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日本病院協會創立を祝し,併せて將來の活躍を期待する
pp.2
発行日 1951年7月1日
Published Date 1951/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200346
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顧ると,この10年間は日本の病院にとつて全くの苦難の時代であつた。國運を賭しての大戰爭更に敗戰というドン底時代を通じて,物資の缺乏,職員の不足,經濟的貧窮,人心の荒救等最惡の状態の下に病院の經營を續けて行かねばならなかつた。今日迄漸く辿りつけたのも,院長以下職員の献身的努力にのみ頼つて來たものである。この荒敗衰弱し切つた日本の病院の姿を初めて見た連合國の人々が,たとい指導的であつたにしろ,「歐米の中世紀的存在である」と批判したのも無理のないところである。
この状態に病院人が満足していた譯では勿論ないが,確に從來日本では病院に對する一段の正しい認識が缺けておつた事は反省されなければならない事實であつた。然し,この瀕死の病院に對し強い改革を要求されたときは,無慈悲のしもとのように感ぜられたものであつたが,今にして考えれば,これがわれわれ病院人の心の立直りによい強心劑となり,理想の彼岸への希望を見出し,今日の状態を生むようになつたことは幸いである。
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