連載 鉄郎おじさんの町から病院や医療を見つめたら…・49
団塊の世代―~その最後の仕事~
鉄郎
1
1NPO法人アットホームホスピス
pp.796-797
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102118
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芋の子あつかい
「吉田!」と,中学校の教師が生徒の名前を呼ぶ.すると「はい!」「ハイ!」「はーい」と3人の男女が手を挙げた.この情景は僕の中学時代.当時は1クラス平均55人を超え,1学年に13クラスもあった.それが3学年あるのだから,総生徒数は優に2000人を超える.「吉田」と呼べば複数の生徒が返事をしても不思議ではない.「田中」も同様で,これまた愉快だ.ところが,これだけの生徒数を既存の校舎に収容するのは不可能であり,グランドにプレハブの簡易校舎が建てられた.夏は暑く,冬は寒い.僕らはそこで授業を受けたのである.
一方,弟が通う小学校は講堂を厚いベニヤ板で仕切り,いくつもの教室を作った.講堂の一番前には舞台があって一段高くなっている.えんじ色の緞帳が垂れ,一番奥にもう1枚の垂れ幕があり,それを開くと昭和天皇と皇后の写真が飾られている.普段は上げられない垂れ幕であって,写真を見つけた生徒たちは「おばけがいる」と,はしゃぐ.
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