連載 リレーエッセイ 医療の現場から
遺言書と生前三点契約書のすすめ
本田 桂子
1
1NPO法人遺言相続サポートセンター
pp.239
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101663
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私が初めて自分の遺言書を作ったのは,35歳の時だ.結婚後なかなか子どもを授からず,あきらめかけていた.子どものいない夫婦の一方に万一のことが起きると,配偶者以外に親(親がいない時は兄弟姉妹)も相続人になることは広く知られている.もし私に何かあった時,夫が預貯金やマイホームの共有持分の名義変更のために,私の親兄弟に気を遣うのは気の毒だと考えた.もちろん私も,夫の親兄弟にいちいちお伺いを立てるのは避けたいので,夫にも遺言書を作ってもらった.
その後2年たち,幸運にも子どもを授かった.では遺言書はもう不要になったかといえばそうではなく,妊娠8か月の時に遺言書を作り直した.もし子どもが小さいうちに親が亡くなると,子どもは遺産わけに参加できず,家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう手間がかかる.また,相続手続きが面倒なのは子どもが生まれても変わらないからだ.
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