特集 耳—研究と臨床
巻頭言—耳に関する研究の趨勢
西端 驥一
1
1慶応義塾大学
pp.981
発行日 1957年12月25日
Published Date 1957/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201907
- 有料閲覧
- 文献概要
原稿がたまつて掲載が遅れ著者に気の毒である。それかと云つて一冊の特集号にするには足らない。それで特集欄と云う苦肉の策が生れたのです。御諒承を乞う。
メニエル氏病,メニエル氏徴候群,仮性メニエル氏病等仲々ややこしい。此の間日本に来たポルトマン氏によつてフランス学派の見解を紹介された事は有り難い。原因として内耳筋脈の痙攣と毛細管の拡張によつて逃路水腫が来ると決定すればこれからの仕事は判然としてくる。そしてSelyeの警告反応やReilly現象と結びつけられると愈々来たなと云う感じがする。研究はこの方向に集中するかも知れない。だが別の漸進的神経難聴や突発的難聴の本態は何か。このモヤモヤがとれてくると内耳性難聴の治療に曙光が指してくるのではあるまいか。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.