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しやつくりの妙法
pp.240
発行日 1953年5月20日
Published Date 1953/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200893
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マレー方面のある船舶の火夫が,それこそ信じ難い程猛烈なしやつくりにかかつた。英國海軍の軍醫R. C. Naian博士は,あらゆる古典的救助法を講じて見た。即ち呼吸をとめたり,紙袋をふくらましたり,つぼめたり,舌を引つ張つて見たり,砂糖水,ユーカリ油や食酢を飲ましたりしたが總て無駄であつた。
7プロセントの割合で炭酸ガスの混つた酸素吸入も失敗に歸した。強力な沈靜劑を投與したが患者は眠らない。依然としてしやつくりのしつづけであつた。そこで博士は全身麻醉,火夫の横隔膜神經をProcaine注射によつて麻痺でもしようかと思つている時,ふと妙案が頭に浮んだ。手持ちの藥で痙攣を阻止するもので,未だ試みて見ないものがあつた。それは多數の心臟病に用いる硝酸アミールであつた。これを吸うと魔術にかかつたように藥が作用して,全快したということである。最近あつたしやつくりの妙法として紹介して見た。
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