疱疹状膿痂疹の1例—稽留性化膿性肢端皮膚炎或いは膿疱性乾癬との類似例

A CASE OF IMPETIGO HERPETIFORMIS:A SIMILAR CASE TO THAT OF ACRODERMA TITIS CONTINUA SUPPURATIVA OR PSORIASIS PUSTULOSA.

緒言

　1872年，Hebra^1）は妊婦及び塵褥婦人に見られる皮膚の小膿疱の群生を主徴とする重篤な予後不良の疾患をImpetigo herpetiformisと命名して報告した。本邦に於ては中川^2）が第1例を記載し，かつ詳細に論じている。その後妊婦のみならず非妊婦，未婚婦人，男子及び小児に於ける同様の症例が観察されるに及んで，本症の概念に混乱を生じ，発生病理並びに診断上諸種の問題が提起されるに至つた。即ち最も主要な点は，本症のSui generisに対する批判並びにAcroderma-titis continua suppurativa Hallopeau，Pso-riasis pustulosaとの異同である。我々は最近これら疾患に夫々見られる如き皮疹を呈し，診断に苦しんだ結果，一応本症と診定した1例に遭遇したので，茲に記して諸家の批判を仰ぎたいと思う。