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Gynecomastiaを伴い妊娠反応陽性の睾丸腫瘍症例
小田 完五
1
,
外松 茂太郞
1
1京都府立医科大学皮膚科泌尿器科教室
pp.297-300
発行日 1954年5月1日
Published Date 1954/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201203
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緒言
睾丸腫瘍は比較的稀有な疾患で従来しばしばGynecomastia (Gyと略す)を併発することが知られていた。Zondek1)(1929)はTeratoma testisの患者尿にZondek-Aschheim反応が陽性であることを始めて発見し,翌3月之を発表した。同年9月Heidrich,Fels and Mathias2)によるGyを伴えるChorioepithelioma患者尿中のGona-dotropic hormone(g-h.と略す)を測定した詳細な研究報告がある。その後多数学者による研究の結果,睾丸腫瘍の1つの特徴として尿中g-hの出現及びしばしばGyの合併が今日一般に認められる所である。本邦に於ける睾丸腫瘍の報告例は既に相当数に達しているが,g-hを測定したのは三上3)のSeminoma及びTeratomaの各1例が始めてで,今日なお僅少であり,更に睾丸腫瘍にGyを併発した症例は加賀谷・若松・荒木4)の一部乳嘴状癌の見られるSeminomaの1例と悪性中胚葉性混合腫瘍の1例,富川・広田5)の非定形的Chorioepitheliomaの要素を有するSeminomaの1例及び次に記載する余等症例を合せて僅か4例を算えるに過ぎない。よつてここに余等症例を追加し,之を経とし,最近に於けるホルモン研究の成果を緯とし,いささか考按を試る次第である。
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