- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「フランスのリヨンでMarc Sindou教授が興味深い機能神経外科をやっているから一度見てきたらどうか?」久保田紀彦教授からのお言葉を聞くまで,私はSindou教授がどのような仕事をしているのかまったく知らず,機能神経外科について特別興味があったわけでもありませんでした.ただ,留学する機会があるなら,どこかのラボに入って研究…というよりも臨床で行きたいと考えていたので,Sindou教授の論文をいくつか読んでから久保田教授に推薦状を書いていただき留学の手続きが始まりました.留学期間は1年間でしたが,家族皆(妻と子供2人)で渡仏することに決めビザを取得しました.
リヨンに着くまで,私は海外で生活する術を知りませんでした.なんとかホテルの一室に駆け込んで私達家族の生活がスタートしたのですが,アパート探しや子供達の学校の入学手続き,滞在許可証の取得など本当に大変でした.日本人相手の仲介業者に渡仏前にメールで依頼してあったのですが,日本のようなきめ細やかなサービスはなく,アパートが決まるまでは不安な日々をホテルで過ごしました.子供達の学校や私達の滞在許可証の件では自分達だけの力では到底無理で,現地の日本人会の方々(後に妻のお友達になっていただいた方々)に大変お世話になりました.私だけが先に渡仏して,あらかじめ生活基盤を築いてから家族を呼べば妻や子供達に負担を掛けずに済んだのでしょうが,私1人が先に渡仏していても何もできなかったと確信しています.できるだけの情報を収集して渡仏したつもりでしたが,現地でしかわからないことが多くあり,最終的には現地の日本人の方々に頼る他ありませんでした.留学先の施設には日本人はいなかったので,長男が通ったインターナショナルスクールの日本人のお母さん(妻の友人)から生活していくうえでの必要な情報を教えていただきました.誰か先輩の後をそのまま引き継ぐ形で留学するのが,生活基盤を築くという点からは容易なことは想像がつきます.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.