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Ⅰ.緒言
有機溶剤シンナー・ボンド類の嗜癖には,吸入時に単なる酩酊感だけではなく,幻覚催起性が求められているところに特徴がある。小田25,26)による東京少年鑑別所などの52例の調査では,独りで吸入する者にとくに幻覚体験が高度で,75%に多彩な幻覚体験がみられたとされている。シンナー・ボンド類の吸入は,幻覚催起剤の嗜癖という点で本邦で初めての大きな流行であって,青少年の非行化と吸入中の事故死の多発がみられるために,社会問題化しているが,これには社会精神医学的な考察と対応が必要であろう。われわれはシンナー嗜癖に対する調査の一環として,動物実験でシンナーの作用についての行動科学的,および,電気生理学的な検討を加えた。
幻覚催起性の薬物には,ある程度清明な意識の上に幻覚を生ずる,いわゆる催幻覚剤LSD−25(以下LSD),mescaline,psilocybinなどと,意識の混濁や変容の上に幻覚を生ずるγ‐hydroxybutyrate(GHB),phencyclidine(Sernyl),α-chloralose,trichlorethyleneなどの幻覚催起性で麻酔作用のある薬物がある。
1) The changes in behavior and polygraphic analysis of chronic cats induced by inhalation of psychotomimetic organic solvent thinner and less psychotomimetic solvent ether were observed and compared with. Ketamine hydrochloride was also given to chronic cats by intraperitoneal injection and observed on its characteristic properties as psychotomimetic drugs.
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