#総合診療
#書評:子どもの「痛み」がわかる本—はじめて学ぶ慢性痛診療
余谷 暢之
1
1国立成育医療研究センター 総合診療部緩和ケア科診療部
pp.474
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204247
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子どもの痛みは、歴史的に過小評価されてきました。そのなかで、多くの研究者たちが子どもの痛みについてのエビデンスを積み重ね、「子どもはむしろ痛みを感じやすい」ことが明らかになりました。その結果、諸外国では子どもへの痛みの対応が丁寧に実践されていますが、わが国においては十分に対処されているとは言えない状況があります。著者である加藤実先生は、子どもの痛みに真摯に向き合い、丁寧に臨床を重ねられ、さまざまな学会でその重要性を訴えてこられました。その集大成が、本書であると思います。
本書で紹介されている「慢性痛」は、急性痛とは異なるアプローチが必要となりますが、そもそも小児領域では急性痛・慢性痛という概念すら十分に浸透していない状況です。慢性痛は、心理的苦痛や社会的影響を伴い、子どもたちの生活の質に深刻な影響を及ぼす可能性があり、「生物・心理・社会的(biopsychosocial)アプローチ」が必要となります。3〜4人に1人が経験するとされ決して稀ではない慢性痛は、小児プライマリ・ケア診療においても重要な領域ですが、体系立てて学ぶ機会が少なく、本書の役割は大きいと言えます。
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