#総合診療
#書評:レジデントのための専門科コンサルテーション—マイナーエマージェンシーに強くなる
倉原 優
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1国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科
pp.498
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429203692
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若手医師に限った話ではないが、臨床医を続ける以上「専門科にコンサルトすること」と「患者に病状説明すること」は避けて通れない。その技術は、一朝一夕で身につくものではなく、他の医療従事者や多くの患者と真っ向からぶつかり合い、削られ、磨かれ、叩かれ、鉄は強くなる。不幸にも、コンサルトや病状説明が不得手な指導医のもとで育ってしまうと、自身も苦手意識をもってしまい、後輩にノウハウと伝えられないという負の循環が生まれかねない。うまく叩かれなければ、鉄はただの鉄のままだ。
医師が独り立ちする頃、コンサルトや病状説明に関して、誰しも己の能力不足を痛感するだろう。本書を読む前には、目次に「放射線科」「麻酔科」「病理診断科」が入ってくるとは予想していなかった。ともすれば「doctor's doctor」と呼ばれるこれらの診療科は、依頼さえすれば、あとはどうにかやってくれると誤解されがちな診療科でもある。とりわけ電子カルテが台頭している現代、以前のように顔を突き合わせて議論百出されることが減っているように思う。臨床情報なくしては議論すらできないし、著者が書かれているように、じかに顔を見て話さないとわからない部分はあると思う。これは自分への戒めでもある。
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