- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
病歴
患者:生来健康な自立独居の84歳、女性
主訴:食欲低下、全身倦怠感
現病歴:4週間前より両側項部につまるような鈍痛がして、3日後より倦怠感で寝込むようになり、3週間前から食欲も低下してきたため、2週間前に近医整形外科を受診しロキソプロフェンとプレガバリンの処方を受けたが、項部痛以外には無効だったので3日でやめた。倦怠感が続くため、2週間前には近医内科も受診し、血液検査でCRP 17.5mg/dL、ESR 61mm/hr、WBC 7.3×103(Neut 76%)・Plt 473×103/μL、Hb 11.3g/dL(MCV 96.6fL)であったため(ただしLDH、肝機能、腎機能、ANAは正常)、紹介受診した。悪寒・発熱はないが、直近3日間は盗汗あり。体重減少の自覚、頭痛、眼・耳症状、顎跛行、上気道症状、咳・痰・呼吸苦、胸痛、腹痛・腹満、便通変化、排尿変化、帯下、背部痛・腰痛、皮疹、四肢のむくみ、筋肉痛・関節痛・こわばり、複視、構音障害、嚥下障害、四肢のしびれ・脱力はいずれもなかった。
患者背景:
既往:約20年前に前頸部皮下腫瘤摘出
常用薬:なし(そもそも薬嫌い)
生活歴:17年前に夫と死別後から自立独居。子は2人で、時々会いに来る。ペットなし。たまに畑に出る。酒・タバコは全くやらない。長く旅行はしていない。
身体所見:
バイタルサイン:体温36.4℃、血圧138/70mmHg、脈拍数92回/分 整、呼吸数<18回/分。
概観:意識清明で、認知機能・感情とも正常。腰椎で円背あり、鼻声・嗄声・咳はなく、やや色黒(畑に出るからという)。
頭部:頭皮過敏なし。両側頭動脈正常。結膜充血・出血斑なく眼球運動正常。残存下顎歯に軽い歯周炎あり、咽頭口腔粘膜に病変なし。
頸部:両頸動脈や甲状腺に圧痛なし、リンパ節腫脹なし、項部にも圧痛なし、頸椎可動域正常で軟、Jackson/Spurling試験陰性。
背部:脊椎に叩打痛なし、可動域運動で痛みの誘発なし。
胸部:乳房腫瘤なし。全肺で肺音清。心拡大・過剰心音なし、心基部に2/6収縮期駆出性雑音あり。
腹部:平坦・軟で、圧痛・腫瘤や肝脾腫・叩打痛なし。
直腸診:圧痛・腫瘤なく、茶色便潜血陰性。
四肢:両上下肢の関節可動域正常で、痛みの誘発なし、浮腫なし。
リンパ節:表在リンパ節すべてに腫脹なし。
皮膚:皮疹・出血斑なし。
神経:局所徴候なし。
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.