Perspective◆展望
超慢性疾患 糖尿病における意識障害への緊急対応
赤井 裕輝
1
1東北労災病院 糖尿病代謝センター
pp.101
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415200071
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糖尿病は一見,変化の少ない疾患のようにみえるかもしれない.しかし,長年診ている患者にいきなり意識障害の起こることは決して少なくない.意識がない!? と電話が来れば,担当医の心臓は高鳴る.低血糖でなければ大変だ…….さまざまな思いが胸をよぎる.
実習で回ってくる医学部5年次の学生に,意識を失った糖尿病患者を診た時あげるべき鑑別疾患を尋ねると,不意打ちに黙ってしまう学生も少なくない(びっくりさせてごめんね……).“糖尿病性昏睡,脳卒中……”,ここまでは出てくる,OK.研修医になるとその経験から“低血糖昏睡,ショック……”などをあげてくる(よしよし).それでは,一時的な意識障害から覚醒して病院に到着した場合は? “シックサイナス シンドローム,……,徐脈性不整脈? ……”(なかなかよろしい).糖尿病性神経障害が進んでくると起立性低血圧や排尿失神など,糖尿病特有の失神もある.意識がもうろうとなって受診した患者で家族に問うと,数日間タール便があったことがわかる.糖尿病とは直接関係ない疾患であっても,抗血小板薬により貧血が重症化して意識障害を起こすこともあるわけである.
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