特別企画 Masters' Case Study◆糖尿病診療トレーニング問題集
糖尿病専門医レベル
三村 和郎
1
,
志和 亜華
2
,
中西 修平
2
,
古川 真
3
,
相澤 徹
4
1福岡市健康づくりサポートセンター
2広島大学病院 内分泌・糖尿病内科
3釧路赤十字病院 内科
4社会医療法人財団慈泉会相澤病院 糖尿病センター
pp.113-123
発行日 2014年1月15日
Published Date 2014/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415101666
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問題1
患者は単純網膜症,尿中微量アルブミンが陽性で他の合併症を有しない29歳の罹病期間5年の女性の1型糖尿病患者であり,来年中に彼女と夫は子どもをつくるつもりである.彼女のHbA1cは最近2回の検査で8.6%,9.0%(正常値4.4~6.1%)であった.目標血糖値は,食前が90~100mg/dL,食後1時間値が140mg/dL,食後2時間値が120mg/dL以下にするように,主治医からは指導を受けている.彼女の先月の血糖値は50~250g/dLの範囲であった.彼女のインスリン量は朝食時の8単位,昼食時の8単位,夕食時の10単位の超速効型インスリン,就寝時の12単位の持効型インスリンである.主治医から1日に7回以上(毎食前,食後,就寝前,加えて運動の前後,低血糖時)の血糖測定をするように言われていた.
身長160cm,体重63kg,BMI 24.6kg/m2と軽度肥満傾向があり,目標体重は54~57kgと指導を受けている.毎日3回の食事に加え,午後3時と就寝時に軽食を摂る.昼食はファーストフードである.彼女の毎日のエネルギー摂取量は1,500~2,500kcalであるが,計画出産,減量を考慮すると1,600kcalを勧められている.栄養成分の配分は糖質60%,たんぱく質15%,脂質25%,カーボカウントを導入するにあたり管理栄養士に勧められた糖質の配分は朝食60~65g,昼食50~55g,午後の軽食15g,夕食70~75g,就寝時の軽食25~30gであった.彼女はしばしば出張があり,1~2時間車の運転をするので低血糖を心配していた.低血糖発作は昼食前,午後の3時ぐらいに起きる.
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