Generalist and Specialist
私は一般医
川久保 亮
1,2,3
1川久保医院
2実地医家のための会
3日本プライマリ・ケア学会
pp.879
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900970
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私は一般医である,かつては血液病専門医であった.その私が歩んだ道を披露すれば,若い医師の方々の参考になるだろう.私は昭和24年東京医科大学専門部を卒業した.インターン制度のあったころ,外科に配属された.私は糸結びが下手なため,手術が6時に終わった直後,戦地から帰って来た先輩に呼び止められ,8時過ぎまでお互いに食事もしないで私の糸結びの練習を先輩医師がじっと眺めて教えて下さった思い出がある.今でも思い出しては感謝している.
第8回医師国家試験合格後,血液学に興味を持っていたので,迷うことなく小宮悦造教授の門を叩いた.特に臨床血液学ばかりでなく,血球の神経性調節,血球の血行力学,鉄の代謝,B12の代謝,ザーリ血色素計の検定など,先輩の方々の研究をみるたびに私の好奇心は膨らんだ.野次馬精神旺盛な私は毎日が面白かった.私が驚いたのは,教授の組織力であった.日本人の正常血液像の研究は日本全国の若い俊秀を各地から集め,正常とは何か,健康人とは,など,検査の術式について相談し合ったことは壮観であった.
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