研究ノート・13
Principles of Dermatology
宮地 良樹
1
1天理よろづ相談所病院
pp.21
発行日 1991年1月1日
Published Date 1991/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900260
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“The Official M. D. Handbook”という医師を揶揄したパロディ本がアメリカにあって,著者も医師なので,実感がこもっていてなかなか面白い.Dermatologyの項を開くと,Principles of Dermatology If it's wet,dry it. If it's dry,wet it. If neither of these works,use steroids. If steroids don't work,do a biopsy. と,ひやかしてある.皮膚科医として考えてみると,確かに的を得ている面があって反省させられる.他科の医師からみたときに,われわれの実践している臨床とは,この程度のものなのかとも思う.なぜその程度の評価なのかと考えてみると,他科の医師にもアピールするような治療上の進歩が,1950年代のステロイド外用剤以降ないからだと思われる.なるほど,皮膚科学の基礎研究は免疫学や分子生物学の進歩をとり入れてめざましく発展したし,これは,誇れるものだと思うが,まだ第一線の臨床に直結するものとは言いがたい.シクロスポリン,抗ウイルス剤,抗アレルギー剤などは他科でも使われるので,皮膚科独特の新しい治療といえば,レチノイドと光化学療法の二つに集約される.photoagingに対するRetin-Aの効果も,sensa tiona1ではあったが,academicにアピールしたとは思えない.
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