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バルセローナは,マドリードに次ぐスペイン第二の都市で,カタルーニャ自治政府の首都です.人口は首都区域全体で310万人,紀元前より地中海の要港として栄えてきました.1492年1月,イベリア半島最後のイスラム王国グラナダを征服直後のイサベラ女王より経済的援助を受けたコロンブスは,その10カ月後に新大陸を発見します.それから丁度500年後の1992年,オリンピックがこのバルセローナで開かれることは皆さん御存じの通りです.帰国後コロンブスは,バルセローナに今も残る"王の広場"でイサベラ女王とフェルナンド王のいわゆるカトリック両王に謁見し,新大陸発見の報舎をしたと伝えられます.バルセローナの目抜き通りランブラスの港側の端近くの高さ約50mの塔の頂上には,死ぬまでインドと信じて疑わなかった新大陸を指差すコロンブスの姿があり,そこから目と鼻の先の港には,彼の航海に使われた驚くほど小さなサンタ・マリア号の実物大の模型が繋留されています.
今回同市において,X th Congressof the International Society forHuman and Animal Mycology (XISHAM)が開催されました.名誉会長には現スペイン国王フアン・カルロス1世を戴き,学会プログラムの第1ページには国王の御写真が掲げられています.会場は,4年後のオリンピックではその施設の大半が集まるといわれる,市の南西にある緑に覆われたモンジュイックの丘の麓のPalacio de congresosでした.我々の宿舎は市の中心ともいうべきカタルーニャ広場の近くでしたが,会場への往復には経済的理由と便利さからほとんど地下鉄を利用しました.当市の地下鉄は非常に安く(どこまで乗っても1回50 pesetas, 1pt=1.2円,我々はさらに安い10回分300ptsのTarjetaという回数券を利用した.もっともタクシーに乗っても日本と較べれば大変安い),また安全清潔で,行き先や乗り場などの案内も分かりやすく,朝夕にも日本のような混雑はなく,冷房車両もありなかなか快適で,一般市民の人人と触れ合うよい機会です.それはさておき,会議場の近くのエスパーニャ広場で地下鉄を降り地上に出ると,正面のモンジュイックの丘の中腹に,現在内部はカタルーニャ美術館になっているかつての王宮の堂々とした雄姿が目に入ります.会議場はその王宮の下にあり,エスパーニャ広場から会議場までの間,王宮を見上げながら噴水のある広い通りをぶらぶら歩くのが,会議期間中の私の楽しみのひとつでした.また会場の近くには,カタルーニャ美術館のほかに歩いて20分程の所にホアン・ミロ美術館もあり,昼食後の散策などには最適です.
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